【訪問歯科の現場から】90代の患者様との心あたたまる時間と、歯科衛生士採用支援への想い
訪問歯科の仕事をしていると、日々の中で忘れられない出会いがいくつもあります。
その中でも、90代の女性の患者様との時間は、今でも私の心の中で特別な思い出として残っています。
90代・5人姉妹の末っ子として生きてきた女性
その方は、五人姉妹の末っ子として生まれ育った女性。
ご自身の話を伺うと、まるで明治や大正の香りが漂うような、どこか懐かしい時代の物語を聞いているようでした。
「父は地主でね、畑の野菜を食べたいと思うと、そこ一列の土地ごと買ってしまうような人だったのよ」
そう、やわらかく微笑みながら語ってくださいました。
末っ子ということで、とても大切に育てられたそうです。
「私が泣くとね、姉たちの方が叱られていたの。私はいつも守られていたのよ」と、まるで少女のような表情で話してくださるその姿がとても印象的でした。

若い頃の日本舞踊の写真と、当時の輝き
お部屋の棚には、日本舞踊をしていた頃の写真が飾られていました。
艶やかな着物に身を包み、背筋をピンと伸ばした若い頃のその女性。
凛としていて、まさに“美”そのものでした。
訪問するたび、その写真を見ながら「きれいでしょ?あれ、私よ。あはははは!」と、当時の思い出を語ってくださる時間が私も大好きでした。
「私はいつも揉む側だった」——心に残る言葉
訪問歯科では、口腔ケアだけでなく、口腔体操を一緒に行うこともあります。
首や肩の筋肉をほぐすことは、誤嚥予防や発声の改善にもつながります。
そんな時間の中で、私は軽く肩をもませていただくことがあるのですが、そのたびに彼女はこう言うのです。
「私はいつも親や姉たちの肩をもんでたの。だから、揉んでもらったことなんて一度もないの。こんなに気持ちいいものなんだね」

その言葉を聞くたび、私は胸が熱くなりました。
独身で、ご主人やお子さんもいらっしゃらなかったその女性。
「誰かにしてもらう」ことよりも、「誰かのためにしてあげる」人生だったのだろうと思うと、その優しさと強さに頭が下がります。
口腔体操で見せる笑顔と歌声
口腔体操のときには、毎回とても元気な歌声を聞かせてくださいました。
音程もリズムもばっちりで、90代とは思えないほどの声量。
「歌うと気持ちが若返るのよ」と笑うその姿は、訪問する私たちの方が元気をもらっていました。

訪問の時間が終わるたびに、「今日も楽しかったね。また来週も歌いましょうね」と言ってくださる。
そんな時間が、私にとっても何よりのご褒美でした。
訪問歯科の魅力——“人”と深く関われる仕事
訪問歯科の現場は、外来とはまた違う温かさがあります。
患者様一人ひとりの人生に触れ、暮らしの中で寄り添うことができる。
歯科衛生士として、人として、学びと感謝に満ちた時間がそこにはあります。

しかし、現実は厳しいのです。
外来でも訪問でも、歯科衛生士が足りない。
そして、せっかく採用しても定着が難しいという医院がとても多いのです。

「歯科衛生士が足りない」——人材不足の現状
全国的に見ても、歯科衛生士の有資格者数は増えています。
けれども、その多くが現場を離れているのが現実です。
理由は、ライフステージの変化や、職場環境、勤務時間、そして人間関係などさまざま。
「復職したいけれどブランクが不安」
「子育てと両立できる職場が見つからない」
「もう少し感謝される仕事がしたい」

そんな思いを抱えたまま、現場から離れてしまう歯科衛生士が少なくありません。
これは、医院にとっても採用コストの増大や離職リスクの拡大という大きな課題です。
私が採用支援を始めた理由
私は、この“人材のすれ違い”をなんとかしたいと思いました。
歯科衛生士として現場に立ち、そして訪問で多くの方と関わってきた経験から、
「本当にこの仕事が好き」「やりがいを感じたい」という想いを持つ歯科衛生士がたくさんいることを知っています。
一方で、
「もう少し長く勤めてもらえるスタッフがほしい」
「人材募集を出しても応募がない」
「採用してもすぐ辞めてしまう」
そんな悩みを抱える歯科医院も本当に多い。
だからこそ、私は 「採用支援」 という形でその橋渡しをしています。

“こんな仕事がしたかった”を叶えるマッチングへ
私の採用支援では、ただ求人票を出すだけではありません。
医院の想いや環境、求める人物像を丁寧にヒアリングし、
その医院で「やりがいを感じながら働ける」歯科衛生士とつなぐことを大切にしています。
「こんな働き方があったんだ」
「この医院なら続けられる気がする」
そんな声をもらう瞬間が、何よりの喜びです。
そして医院側からも「やっと定着してくれるスタッフに出会えた」と言っていただける。
それが、この仕事を続ける原動力になっています。

歯科医院と歯科衛生士の未来のために
人材不足が深刻化する中で、採用・教育・定着にかかるコストは年々上がっています。
ですが、正しいマッチングと丁寧なサポートがあれば、
採用コストを削減しつつ、離職率を下げることは十分に可能です。

訪問歯科で感じた「人の温かさ」を、
これからの採用支援にも生かしていきたい。
そう強く思っています。
最後に——お気軽にご相談ください
もし今、
「採用してもすぐ辞めてしまう」
「求人広告を出しても応募が来ない」
「歯科衛生士の採用コストを抑えたい」
そんな悩みをお持ちなら、ぜひ一度ご相談ください。
あなたの医院にぴったりの人材と出会うお手伝いをいたします。

歯科衛生士として、そして採用支援者として——
現場の声を理解し、医院と人をつなぐことが私の使命です。

