歯なまるを始めた理由|介護と口腔ケアの現実
歯なまるを始めた理由

週に一回、歯科医師や歯科衛生士が歯磨きをしても、
高齢者のお口の中は、きれいが保たれません。
それが、訪問歯科の現場で私が何度も見てきた現実です。

私が歯なまるを始めたのは、
保険制度では補えない部分を、少しでも埋めたいと思ったからです。
そして、お口の中をきれいに保つことが難しい人の役に立ちたいと、心から思ったからです。
私は2004年に歯科衛生士免許を取得しました。
国家試験の直前、私が生まれたときから一緒に暮らしてきた、明治生まれの大好きな祖母が99歳で亡くなりました。
あまりの喪失感に、試験を受けられるのか不安になるほどでした。
「働いているところを見せたかったな」
その想いは、今も私の中に残っています。

そんな背景もあり、私は高齢者が好きです。
訪問歯科として高齢者施設や居宅訪問、障害者施設での口腔ケアにも携わってきました。
そこで目にしてきたのは、
べったり残った歯垢、挟まった食べカス、舌についた分厚い汚れ、外されずに一週間経った義歯でした。
それでも、保険制度で口腔ケアは月に4回まで。
施設のスタッフの方々は忙しく、人手も足りない。
その中で、歯の専門的なケアが週に1回だけという現実に、強い疑問を感じました。
本当は、毎日磨いてあげたいくらいなのに。

在宅介護をされているご家族も、不安を抱えています。
「磨いたら血が出ました」と連絡をくださることもあります。
多くは歯肉炎が原因ですが、歯の専門でなければ分からないことだらけで当然です。
あるとき、施設に入られたお世話になったおばあさまの面会に行き、
義歯を外して洗い、お口の中をきれいにさせてもらいました。
たくさんの食べ物が挟まっていました。
口腔ケアが少しでも増えたなら、誤嚥性肺炎のリスクも下がり、
口から食べる喜びも、もっと続くはず。そう思いました。
だから私は、歯科衛生士としての経験を活かし、
少しでも多くの人に口腔ケアを届けたいと思って、歯なまるを始めました。

ここまで読んでくださって、ありがとうございます。
まずは、資料だけでも目を通していただけたら嬉しいです。
介護の現場に、歯科衛生士がもっと身近になりますように。
