介護現場に足りない歯磨きの専門性
介護の現場には、「お口の中の衛生を高く保つ役割」を専門的に担う人が、ほとんどいません。

在宅介護、高齢者施設、デイサービスなど、さまざまです。
訪問歯科という制度はありますが、保険上で行える口腔ケアは月に4回までです。

私は仕事で訪問診療に行き、実際に口腔ケアをしています。
しかし、週に1回だけプロが行う歯磨きでは、正直まったく追いつきません。
利用者さんのお口の中には、驚くほど多くの汚れが残っています。

この状態が続くと、誤嚥性肺炎を引き起こすリスクは確実に高まります。
もちろん、ご本人が自分で歯磨きできる度合いは人それぞれです。
ただ、介護認定を受けていない元気な高齢者の方や、学生であっても、歯科医院での定期検診は必要ですよね。
一年に一度の受診だけでも、汚れが溜まっていることは珍しくありません。

では、介護を利用している高齢の方々のお口の中はどうでしょうか。
自分で磨くには、どうしても限界があります。
自分で磨けない場合、歯磨きをするのは
介護士さん、ヘルパーさん、そして在宅ではご家族です。
口腔ケア用品の選び方や使い方、汚れが残りやすい場所を
プロが知っているかどうかで、歯磨きの質には大きな差が出ます。
同じ「歯磨き」でも、結果はまったく違ってくるのです。

私は高齢者の方々が大好きです。
たくさんの人生経験を重ね、豊富な話題を持っていらっしゃいます。
お話しするのが好きな方もいれば、静かに過ごしたい方もいます。
お話ししなくても、その存在自体が大好きです。

超高齢化社会の現代では、医療は進歩しています。
けれど、毎日口腔ケアを支える制度はありません。
お口の中の清潔は、命に関わるほど大切です。
介護をしている方々の負担や不安、疑問に、
歯磨きの専門家として、少しでも力になりたいと思っています。
どうぞ力を抜いて、気軽に話しかけてくださいね。
