90歳の認知症の女性との出会いが教えてくれた、義歯と心のケアの大切さ | フリーランス歯科衛生士【奈良橋 一菜】

BLOG & INFO

ブログ

90歳の認知症の女性との出会いが教えてくれた、義歯と心のケアの大切さ

#dental#デンタルクリニック#介護施設#募集#口腔ケア#採用支援#歯科#歯科医師#歯科医院#歯科衛生士#求人#訪問歯科#障がい者施設#高齢者施設

私が訪問口腔ケアで高齢者施設に行ったときのことです。
そこに、90歳になる認知症の女性がいらっしゃいました。
歯をほとんど磨かず、汚れがとてもたまっていて抜歯しなくてはならない歯もたくさんある状態でした。
けれど、それがまた私の経験と知識を増やしてくれました。


抜歯と初めての義歯づくり

最初の訪問は、歯科医師と一緒に行きました。
ご本人とご家族に説明をして、どうしても抜かなければならない歯を抜くことになりました。
抜歯が終わったあと、先生が義歯(入れ歯)を作ってくださいました。
ご本人にとっては、これが初めての入れ歯です。

歯科衛生士 離職 理由 歯科医院 デンタル 歯科医師 求人 募集 GBP MEO 介護施設 高齢者施設 口腔ケア 訪問診療

しかし、最初から受け入れるのは難しかったようでした。
下の入れ歯は何とかつけてくれましたが、上の入れ歯は「軟口蓋にくっつく感じが嫌」ということで、どうしても入れてくれません。
義歯が口の中にあるという違和感が強く、認知症の方にとってはそれが大きなストレスになります。

それでも、ご本人は歯が少なくても不自由を感じていない様子でした。
「食べることに困っていない」と笑顔で話されます。


驚くほどのプラーク量とデンチャーケア

その後、私は定期的に口腔ケアで訪問するようになりました。
毎回感じるのは、プラーク(歯垢)の量が尋常ではないということです。
ご自身ではなかなか磨けないため、食べかすや汚れがびっしりとついてしまいます。

さらに、義歯も一週間ほど外していないので、私が外すとデンチャープラーク(入れ歯の汚れ)が大量に付着しているのです。

想定内ですが。
私は丁寧に洗浄・清掃し、口腔内も優しく磨きます。
ケアが終わったあとに、「ずいぶん汚れてるでしょ。歯なんて磨いたことないから。」と毎回おっしゃいます。

これらのケアは、誤嚥性肺炎を防ぐためにもとても大切です。
どんなに小さなケアでも、毎日の積み重ねが命を守ることにつながります。


口腔体操と歌の時間

口腔ケアのあとには、口腔体操を一緒に行います。
「あいうべー体操」や「パタカラ体操」をゆっくりと行い、
お口や舌の動きを保つトレーニングを続けています。

歯科衛生士 離職 理由 歯科医院 デンタル 歯科医師 求人 募集 GBP MEO 介護施設 高齢者施設 口腔ケア 訪問診療

さらに、その方の好きな歌を一緒に歌うこともあります。
実はとても歌がお上手で、驚くほど綺麗な声をしていました。
聞くと、若い頃は学校の合唱団でソプラノを担当されていたそうです。
その日の訪問の最後には、澄んだ高音で童謡を歌ってくださり、施設のスタッフも思わず拍手。
「歌うって、心にも良い薬になるんだな」と感じた瞬間でした。


「息子は果てしなく優しい」と語った笑顔

ある日、訪問の帰り際にその方の息子さんとすれ違いました。
私が「優しい息子さんですね」と声をかけると、
女性は嬉しそうに笑って、こう言いました。

「息子は果てしなく優しいのよ」

その言葉に、胸がじんわりと温かくなりました。
認知症が進んでも、心の奥にある“愛”や“感謝”は消えない。
その優しい表情が、今でも忘れられません。

歯科衛生士 離職 理由 歯科医院 デンタル 歯科医師 求人 募集 GBP MEO 介護施設 高齢者施設 口腔ケア 訪問診療

義歯は「作らない選択」もあると知った

その後、別の施設で働いた際に一緒に訪問していた先生から、
興味深い話を聞きました。

「認知症の方で、歯が少なくても本人が食べに困っていないなら、無理に義歯を作らなくても良かったりするんだよね。」

義歯は便利なものですが、使い慣れていない方にとっては“異物”です。
特に認知症の方の場合、初めての義歯は不安や不快感だけです。
その結果、結局義歯は使われません。
この経験を通して、「治療とは、患者さんの“快適さ”を最優先に考えること」だと改めて感じました。


訪問口腔ケアは学びと感動の連続

訪問診療は、ただの歯のケアではありません。
人の人生、家族の絆、そして“生きる力”に触れられる現場です。
ときには驚くこともあるし、想定外の出来事もあります。
でも、その一つひとつが私にとって大切な学びであり、人として成長する時間す。


歯科業界の課題——人材不足とマッチングの難しさ

一方で、訪問歯科や施設ケアに携わる歯科医師・歯科衛生士は全国的に不足しています。
「訪問をやりたいけれど、人が足りない」
「求人を出しても応募がこない」
そんな悩みを抱える医院は少なくありません。

歯科衛生士 離職 理由 歯科医院 デンタル 歯科医師 求人 募集 GBP MEO

しかし、希望する人材は必ずいます。
大切なのは、医院の雰囲気や価値観に合う人を見つけること
私は、そんな“人と職場をつなぐ採用支援”を行っています。

医院の理念や求める人物像を丁寧にヒアリングし、
働く側の希望やスキルに合わせて最適なマッチングを行うことで、
双方にとって幸せな採用を実現します。


最後に——人と人をつなぐ温かい医療へ

口腔ケアを通じて感じるのは、
「人は誰かにケアされることで、心が元気になる」ということです。
そして、ケアする私たちもまた、患者さんから優しさや学びをもらっている

歯科衛生士 離職 理由 歯科医院 デンタル 歯科医師 求人 募集 GBP MEO 介護施設 高齢者施設 口腔ケア 訪問診療

訪問歯科は、単なる医療ではなく“心の交流”です。
これからも、一人でも多くの人にその価値を伝えたいと思います。

歯科医院の採用・人材マッチング・離職防止のサポートに関するご相談は、
どうぞお気軽にお問い合わせください。
人と人をつなぐ採用支援を、心を込めてお手伝いします。

この記事の著者

奈良橋 一菜

1984年生まれ、北海道出身。自然豊かな環境で育ち、幼少期から機械いじりに親しむ。高校では商業科でパソコン等を学び、その後、歯科衛生士の国家資格を取得。小児歯科・一般歯科・口腔外科・訪問歯科など幅広い分野で経験を積む。2025年にフリーランスへ転身し、臨床以外の分野でも歯科医院を支援。二児の母としての視点も活かしながら活動している。

コメントは受け付けていません。

〒195-0074 
東京都町田市山崎町457-1-109
電話番号 / 080-3230-0264

 

営業時間 / 10:00〜16:00
定休日 / 不定休

お電話対応可能日は月曜・水曜・木曜です。

メールは24時間受付可能です。

プライバシーポリシー / 特定商取引法に基づく表記

Copyright © 2025 奈良橋一菜 All Rights Reserved.

CLOSE